STARS ON ICE
〜 フィギュアスケート 芸術とスポーツのはざまで 〜
STARS ON ICE (以下 SOI) 大阪公演、2009年1月12日のレポです。
すでに一部地域では大阪公演の内容が放送されておりますので、安藤選手の素晴らしい演技を目にされている方もたくさんいらっしゃるかと存じます。 また、これから東京公演へ行かれる方もいらっしゃるかと思いますので、詳細は省かせていただきます。
ここでは私の個人的な感想となりますが書かせて頂きます。 皆様の感想と多少異なる部分があるかと思いますが、おつきあいくださいませ。
SOIは、23年続いている世界屈指のアイスショーです。 SOIオリジナルメンバーはプロスケーターで、そのすべてのメンバーがオリンピックや世界選手権でのメダリストです。
長くフィギュアスケートを愛してきたファンにも、また新たに魅力を感じたファンにも、フィギュアスケートファンなら誰かしか知っているスケーターが出演しているのです。
オリジナルメンバーをご紹介しますと、サーシャ・コーエン、イリヤ・クーリック、トッド・エルドリッチ、ペアのシュエ・シェン&ホンボー・ツァオ、佐藤由香、アイスダンスのマリー・フランス・デュブレイユ&パトリス・ローソン、マイケル・ワイス、ジョン・ジマーマン、ジェニファー・ロビンソン(順不同・敬称略)という豪華な顔ぶれです。
SOIの魅力はこの素晴らしいスケーター達が見せる息のあった群舞と、和気あいあいとしたユーモラスなトーク、そして数々の引き込まれるようなプログラムに尽きます。 オリジナルメンバーからの汗つきのタオルプレゼントやこのショーならではのスペシャルゲストによるシークレットペアの演技は笑いを誘うものでした。
今年のテーマは「On the Edge:The Heart of the Champion」。
フィギュアスケートの魅力はスポーツでありながら芸術性が高いことがその一つと言えましょう。 このショーでは、アスリートとして一流のSTARSがエンターテイナーとしてその技術を演じるというコンセプトの元に、現役のアマチュア選手のうちでもトップアスリート達がゲスト出演しておりました。
その中の一人が安藤選手。 演目はボレロでした。 今シーズンはこのプログラムがとても彼女に合っています。 ここしばらくのショーラッシュの疲れを感じさせない、力強いシャープな演技を披露してくださいました。 今回はクリーンな3S、I字スパイラル、流れのある2Aがばしっときまり、世界選手権での活躍を期待させるコンディションの良さでした。 皆さんを魅了する 情熱的な心に訴える演技は健在です。 素敵でした。
今回はゲスト出演でしたので、群舞には出演されませんでしたが、グランドフィナーレの際に他のゲスト出演者とともに再度姿を見せてくださいました。 このショー恒例のお色直しは、SOIの演出に合わせて、華やかなピンク、レッド、オレンジの組み合わせの衣装での登場でした。
シンプルに結い上げた髪とその衣装はとても似合っていて、また他のスペシャルゲストとの仲も良いようで、大変心が和む場面でした。
プロのスケーティング、とくにオリジナルメンバーのナンバーは、派手なジャンプこそないものの、自由で、例えばバックフリップがあったり、バックエッジでのイーグルがあったりと、競技では見られない面白いスケーティングでした。
そしてその滑らかさというのは、プロならではの円熟味があり、普段 四回転とかトリプルアクセルに魅せられてきた私などにとっては、「フィギュアスケートって滑っているだけで、こんなに美しいものだったのか!」と驚かされましたし、プロスケーターの熟練の技術というのは年月を重ねて積み重ねた上ににじみ出るものなのだと痛感しました。
そんな素晴らしいスケーティングのナンバーが続く中で、12日は安藤選手は中締めでした。 私から見たら、決してプロに見劣りするものではありませんでした。 将来、安藤選手もこんな風に世界を巡るプロスケーターになってくれたらいいのに・・・という思いを持ったほどです。
基本的にこのショー自体がオリジナルメンバーによる演出が作り込まれていて、アメリカ、カナダ、ベルギー、韓国と世界的に開催されているショーですので、演出、照明、衣装、演技すべてが見応えがありました。 アナウンスは英語が中心。 英語に不安な方はご安心を、ビジョンに日本語訳が出ます。
そのメッセージも、フィギュアスケートのもつ相反する二面性、芸術とスポーツを融合するという部分が大変印象的でした。 今回はショーですからエンターテイメントの部分が多かったのですが、今のフィギュアブームと照らし合わせると大変興味深いメッセージが多かったと思います。
今は日本にもこのような世界的なショーが、昨今のフィギュアスケートブームのため盛んに開催されていますが、10年後もまたこんなショーを日本で見られたらどんなに幸せだろうと感じました。
10年後も、安藤選手をはじめとして、今のアマチュア選手が世界中を巡るプロスケーターとして活躍し、その姿を日本で見られたらどんなにいいだろうと感じずにはいられませんでした。
フィギュアスケート人気をブームに終わらせないためにも、厚い選手層や練習環境が必要です。
これからもレベルを落とさずに、さらにステップアップして多くの優れたスケーターが日本から輩出されるように、練習環境、つまりリンクの存続問題などにファンも関心をもっていたいものだと感じました。
安藤選手や今活躍している世界トップクラスの選手も一朝一夕に生まれたわけではありません。 安藤選手はかれこれ10年以上も練習を重ねることができたから優れたスケーターになれたのです。10年後、20年後も、フィギュアスケートというスポーツが日本で人気を保ってほしいと思います。 そのころ安藤選手は世界屈指のジャンプの指導者で、世界トップクラスの選手の隣にキス&クライでミキスマイルを見せてもらえるように、将来の日本のフィギュアスケートを楽しめる環境作りというのも、そろそろファンも考えてみてはいかがでしょうか。 一時のスター選手によるブームに終わらないでほしいと強く感じます。
いわゆるセーブリンクキャンペーンということにもつながるかと思いますが、今、安藤選手からいただいている夢のような時間を今だけのものにしないように、フィギュアスケート全体についてそれぞれのファンなりに考えてみていけたらと思いました。 みんなで考えたらきっといい練習環境やフィギュアの楽しみ方、選手への援助など方向性が広がっていくと考えます。
世界的なプロスケーターに日本人の佐藤有香さんがいらっしゃったことを私は誇りに思いたいし、そのゲストに世界的なタイトルを持った現役アスリートがいる今の日本のフィギュアスケート界がさらに繁栄していってほしいと願っています。
SOIメンバーのような、30代後半でも素晴らしい演技のできるスケーターの活躍できる場所が、日本のどこかにあり続けて欲しいものだと、願っています。 私たちの愛する安藤選手の将来のためにも!
最後にショーに出演されたすべてのスケーターへ
夢の時間をありがとうございます。
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