「レクイエム」それは死者の安息を神に願うカトリック教会のミサのことさす。
そして「死」は、現世の生身の体から魂が人の心の中の記憶という場所に移って永遠の生命として生き続ける、その魂の移動の事だと僕は信じている。
EX版「レクイエム」での氷に体をあずけ曲調が変わるシーンは、まさにその魂の移動そのものではないだろうか!
安藤美姫 2010バンクーバー五輪フリーフログラム「クレオパトラ」。
最後の要素のコンビネーションスピンから美姫クレオパトラが青空に向けて手のひらをつき上げる、
その一瞬、全ての時の流れが止まり全て人々の心から記録・成績の文字が消える。
これもまさにレクイエム。
安藤美姫を中心にみんなの想いで演じられた二つのプログラムが、瞳に映る現世から人々の心の中の記憶という場所に移って永遠の生命として生き続け始める。
僕は五輪でそんな感動を創るに違いない美姫さんはもちろん、美姫さんを応援するみんなにミキ色のメダルもあげたいと思う。
なぜならスケーターの皆さんは、自分にしか出来ない演技をして自分色のメダルをとることも目指していると思うから、フィギュアは芸術でもありますし。
でも、こんな理想の演技は、それ以上のものがない美姫さんの力を出し切った演技。 演技後は当分の間は氷から離れて普通の地面を歩いてゆっくり青空を眺めていたくなるでしょうね。
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僕も最初は美姫さんを美少女アスリートとして注目していました。
しかし、インタビューや、特に「マイ・ファニー・バレンタイン」を見て本気のファンになっていきました。
大好きなジャズ、その中の名曲、それを世間一般のジャズに対するアダルトなイメージに過剰に合わせるのではなく、ジャズ本来のアドリブの精神そのまま、スローバラードを自分の感じたままに舞っていく。
しかも高校生が無理にアダルトに背伸びをすること無く「記録以上に記憶に残る演技がしたい」とオンリーワンの精神を口にながら・・・。
フィギュアは確かにスポーツでもある、精神的に弱いと言われるほどの感受性・繊細さは弱点かもしれない、しかしこの子は豊かで優しい感受性・繊細があるから心を裸にした演技が出来る、自分に嘘がつけなくて演技に嘘がつけないからその舞自体がリアル、つまり全てのプログラムをノンフィクション安藤美姫物語として舞いつつある。
これからもっと人生経験を積めば、アスリートとしての欠点も十二分にカバー出来る、とんでもないソウル(魂)と生き様を表現するアーティストになれる、と!!!
あれから数年、皮肉にも人並み以上の辛い経験をして、それを糧とした、とてつもないスケーターになられました。
いつのまにか「美姫Chan」から「美姫さん」に呼称を変えるほど僕の理想・想像をはるかに追い越して・・・。
感謝がキーワードだった06年度、トリノ演技直後の「良かった四回転をやって!」とやっと出た笑顔からの再出発、そして「三日月」のEXが象徴的でした。
真の女王がキーワードだった07年度 「たった一人でも私の演技を求めて頂ける方がいらっしゃる限り、リンクに立たせて頂く、滑らせて頂く」この言葉・心へ辿り着くための茨の道でした。
もう一度リセットをかけた08年度 「どう魅せるか、どう滑るか、自分がどうありたいか」これの自問自答だったように思えます。
そしてあえて「日々成長」を目標とした09年度 「(青空を通じて)みんなの気持ちと一緒に」という全ての問いに対する素晴らしい答に見事に到達しましたよね。
今の美姫さんはみんなの気持ちを感じ取り、受け止め、大きな強い力の塊になれる。
それは人目を気にする、いや気になる、つまり周りに、優しくきめ細かい気配りをしているからこそ!
そういう協調性をより育ててきた波乱の四年間でもあったように思えます、まさに常に世界の舞台で真の頂点を競えるだけの真のプロフェッショナルの心を磨く四年間だったと・・・。
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でも栄光ばかりが人生ではない。
ましてや、ここまで辛い事のほうが多かったのだから・・・。
これまでも、そして今回も五輪では魔物は潜んでいます。
クレオパトラの最期は自殺です。
しかし、それは失望・絶望からではない、自分の意思を貫く為の手段だったに違いありません。
そしてクレオパトラは人生の敗者か? それも違うと思います。
長い歴史を辿ってなお、多くの人がその生き様を知っている、まさに人の心の中で生きる人物です。
勝負とはその時点の勝ち負けだけではない、後に何を残したか?!も大切な事です。
人の人生はたった何十年で終わるちっぽけなものではない、人の心の中の記憶一杯に広がって永遠に生き続けるものです。
スケーターの皆さんは演技にその熱い想いをしっかりと込めて、その演技を見た全ての人がその熱い想いをしっかりと受け止める、それだけでルール上の記録でなく人の記憶の中で勝者になり、その演技と一緒に永遠に生き続けるはずです。
そこに自分のためだとか他人のためだとかそんなヤボな線引きはいらない、熱い想いを共有できればこれほど幸せな事はない、人は助け合い支え合って生きていくもの、そしてその他人との繋がりを感じれるだけで幸せなんです。
だから何より全てのスケーターに、気負うことなく、依存することなく、応援する人達と同じ視線で心のスクラムを組んで滑って欲しい。
「ONE FOR ALL−ALL FOR ONE/ワン・フォー・オール・オール・フォー・ワン (1人は皆のために、皆は1人のために)」、with lots of LOVE... みんなの気持ちと一緒に・・・。
そして忘れていないですよね、トリノで「自分もしーちゃんに夢をもらったので今度は私が子供達に夢を」と言ったのを。
今の美姫さんのスケートスタイルと選曲は普通に幸せな毎日を過ごす子供達には難しいかもしれない。
しかし、苦しんでいる子供達ほど理屈ではなくフィーリングで「ミキ色の、言葉でない何か」をきっと印象強く受け止めてくれるはず。
国名を背負うドリーマー〜五輪選手の責任として、結果は全く関係無くプレーに挑む姿とプレーそのもので、日本はもちろん未来を創る多くの子供達に夢と気力と勇気をあげて欲しい。
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本番までもう少し、「練習は裏切らない」これは中野友加里さんの言葉です。
演技では日々の練習でしてきたもの、そのものが出ると思います。
日々の練習、つまり日々の生活、今の美姫さんそのものだと思います。
成績が良くも悪くも、あるがままの美姫さんを愛しさを持って受け止めますからね。
だから最後にこの言葉を受け取って下さい。
「結果はともかくね、あなたが過ごしてきた全てのものが 悲しみとか辛さとか嬉しさとか、苦しみとか怪我の痛さだとか、ぎっしり詰まった本当に濃い試合だったらいいなって」
井上怜奈さんのお母様が全米を直前にした怜奈さん言われた言葉です。
それは美姫さん以上に美姫さんの人生で喜怒哀楽をしてきた一番の功労者、つまり美姫さんのお母様も同じ気持ちだと思います。
「JAPAN MIKI ANDO」の滑走直前のコール、バンクーバー・パシフィックコロシアムが緊張に包まれる。
まずは僕自身が落ち着いて、美姫さん以上に美姫さんを信じて、美姫さん以上の笑顔でしっかりと見守って、美姫さんの心の曇りを吸収する。
美姫さんを応援するみんなの気持ちを感じながら、そして何より美姫さんが演技後に青空のような笑顔で喜んでいるのを想像しながら!!!!!!!
タイミング良くちょうど今、「空に向かって」著安藤美姫が届きました。
with lots of LOVE... みんなの気持ちと一緒に・・・・・・・
リンクに観客にそして自分自身に想いをこめて
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