2010年05月02日

来シーズンのルール変更の方向性 〜女子SPスパイラル廃止・他〜


来る 6月12日から 20日に開催される ISU 定期総会の議案書が、202ページに及ぶ コミュニケ1609 として29日付で30日、発表されました。
 
http://isu.sportcentric.net/db//files/serve.php?id=1859
 
この中には、予想せざるルール改正案がたくさん記載されていますが、その中でも ISU の理事会や専門委員会からの提出案件は、(加盟各国からの案と違い) 議案の段階とは言え、ISU総会における審議プロセスの規定から考えても、可決実現が濃厚であると思われます。
 
以下、フィギュアスケート女子シングルに関係のある主要議案について、その ISU 自身の提案を中心として、ここに現時点での概観を試みてみたいと思います。
 

 
< ISU提案のうちの注目項目、 重要度順ではなく 議案番号順 >
 
議案43 : (要点概訳、以下同じ)
7月1日時点で15歳以上に達している選手は、シニアの競技に過去のシーズンを含め2回(ただしGPシリーズはシーズン全体で1回と数える)参加した時点で、ジュニア競技への参加資格を失う; フィギュアでは、ジュニアの年齢制限を同13歳以上18歳未満に変更、ジュニア世界選手権の参加資格を同14歳以上、シニアGPFの参加資格をあらたに同15歳以上とする、などの提案。
 
議案48 :
国籍を変更した選手の登録申請について、規定上の用件をクリアしていても、ISU理事会はこれを審議の上で拒否できる権限を持つことを新たに提案。 選手の「輸入」による安易な国家代表補強は ISUルール109の目的にそぐわない、という理由。
 
議案63、議案211 :
フィギュア競技(SP・FS)のスモールメダルを廃止する提案。 一般大衆にとって紛らわしく、また、SP、FS それぞれは個別競技ではない、という理由。
 
議案183 :
コンビネーションジャンプ(ジャンプシークエンスではない)のベースバリューを 1.1倍にし、GOE は難しいほうのジャンプの数値で全体を採点するという提案。  個別ジャンプよりも難度が高いという理由。
 
議案189 :
衣装(および小道具)規定違反の減点を−3とし、衣装等の一部が氷上に落ちた場合の減点を新たに−1とする、という提案。 観衆の注目が演技よりも衣装に集まることを防止する、という理由。
 
議案266 :
コンビネーションジャンプやジャンプシークエンスにて、ハーフループにループのベースバリューを与える、という提案。
 
議案268 :
シニア女子のショートプログラムにて、スパイラルを必須要素から外し、演技要素を計7に減じる、また、必須要素のアクセルジャンプは2Aでも3Aでも良い、という提案。
 
議案269 :
この議案268のうち、女子シングルについては、 上記3Aが演じられた場合は コンビネーションジャンプの中には3Aは入れられない、 ステップシークエンスの中ではレベル表に無いジャンプは自由に演じられる、 スパイラルが演じられた場合はつなぎ(Transition)として扱われる。 
 
議案270 :
フリープログラムにおいては、2Aはシングルジャンプ・コンビネーションジャンプ・ジャンプシークエンスのいかんに係らず、計2回までしか演じられない。
また、スパイラルは3秒以上姿勢を保持した2つのポジション または 6秒以上保持した1つのポジション以上で構成されねばならず、これを満たさない場合は点数が与えられず、また満たした場合はレベル段階の無い固定されたベースバリューのみ与えられ、評価はGOEで定められる。
 

 
<加盟国(個別連盟)による提案のうちの注目項目、 重要度順ではなく 議案番号順>
 
議案59(日本提案) : (要点概訳、以下同じ)
ヨーロッパ選手権 あるいは 四大陸選手権に出場した選手は、世界ジュニア選手権には出場資格を無くす、という提案。 ジュニア選手の健康に配慮し、日にちの接近による過大負担を避けるという理由。 「賛成しない」という理事会意見が、議案43の中に同じ精神の提案があることを理由に、付いている。
 
議案163(オーストリア提案)、議案164・182(カナダ提案)、議案165(ロシア提案)、議案166(米国提案) :
ジャッジの採点のうち無作為抽選で2人分を不採用とする現行方式をやめる提案。
オーストリア案と米国案は最高と最低の採点の不採用は現行どおり、カナダ案は主要大会で最低9名および審判団の大きさに応じた最高と最低の不採用数の調整、ロシア案は9名の全採点の採用と補欠ジャッジの必要を主張、米国案は9名でなく12名および補欠を主張。
 
議案185(デンマーク提案)、議案186(フィンランド提案)、議案187(ノルウェー提案)、議案188(スウェーデン提案) :
ショートプログラムで、2分経過以降のジャンプのベースバリューを 1.1倍とする提案。
 

 
その他 ISU からは、ISU選手権における 下位選手の予選(Qualifying Round)の実施や、参加資格としての最低得点経験が提案されていたりはしますが、安藤選手ほか、日本の女子シングル選手に影響のある提案は、上記の中にあるものが主要であると考えられます。
 
スパイラルのショートプログラムでの必須要素からの除外は、一昨シーズンのFSでの必須スピンの減少と同様、つなぎ(Transition)重視の表れであることは間違いないでしょう。 実際、これまでの現実のジャッジングの傾向もそうなっていると思われます。
ステップシークエンスでの、リスト外ジャンプの採用自由化ともども、演技そしてスケーティング自体の巾を確保するものであると同時に、体力的には要求度が上がっているとも考えられるのではないでしょうか。
 
これらの提案がそのまま実現されるかどうか、総会のゆくえが注目されます。
 
皆様はどうご覧になるでしょうか。
 
posted by administrator at 19:28 | TrackBack(1) | ISUルール関係 | 更新情報をチェックする
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