夢は見果てぬもの、限りなく膨らむのが性(さが)です。 ですから、ファンが抱く とめどない多様な期待は、それを選手が選手自身のために自由自在に咀嚼し、そしてその選手が理想とする演技に向けた、ひとつのエネルギー源として頂ければ・・・
「私の見たい安藤選手」は、そんな目論みのアンケートではありました。
◆
ご回答を頂いた皆様、ありがとうございました。 メールの分を含めた結果は → こちら に別掲のとおりですが、以下、順番に見ておきたいと思います。
[問1] ここでは、安藤選手が現役の競技者であることからか、やはり何と言っても試合の採点システムに呼応した進化をファンが期待しているのが表れている、と見ることができるのではないでしょうか。 実際の評価に結びつきやすい順になっていると考えられるからですが、このところ 芸術性のほうで長足の飛躍を見せて頂いたので、今度はそれ以外の面にもう一度 期待が集まっている、とも言えるかもしれません。
[問2] 主として TES の内容についての設問ですが、ご覧のとおり、ジャンプに関するものが圧倒的に多く、また、PCS(およびTESのGOE)に関連する「つなぎ」への関心が突出しています。 ファンにとって、採点が(気にするなと言われても)気になるのが良く出ていますが、ジャンプについては安藤選手のもともとの個性へのファンのこだわりが出ているに違いありません。
[問3] それはこの設問に良く示されていると思われます。 3Lz3Lo への圧倒的集票は、ファンが選手とおそらくは同じように このコンビネーションへの思い入れをたいへん強く持っている、ということでしょう。 自由回答にて、フリースケートでの3Fへの期待が書かれていたのも印象に残ります。 エッジ修正へのファンの誇りのようなものが感じられました。
[問4] PCS の5項目にほぼ沿った質問です。 スピード(体力・ストライド)へのファンの願いが強く(SS)、また、安藤選手の演技からほとばしる感動を何度でも味わいたい(PE)、という想いが出ていると見られます。 全体に他の設問での回答と矛盾する側面があり、振付や解釈への期待はここでは少数です。 設問に使った文面でなく PCS 各々そのまま記号での表示であったら、違った結果になったかもしれません。
[問5] この設問は票が割れました。 しかしその中でも、「誰もが知っていて親しみやすい曲」が優勢だったことと、それ以上に「純粋に音楽そのものを表現」して欲しいという期待がたいへん顕著だったことは特筆すべきと思われます。
[問6] SPでは宮本賢二氏の圧勝です。 高橋選手での大成功、安藤選手自身の「ボレロ」が傑作であったことなどが背景にあるのでしょう。 他、「あり得るなら」という設問にもかかわらず、モロゾフ氏が善戦しています。
[問7] FSでも宮本賢二氏が1位のほか、リー=アンが2位。 また、タラソワ女史がウィルソン氏、モロゾフ氏に次いで票を得ているのが目を引きます。 問6 とともに、ファンは振付を通じて 安藤選手の色々な側面を引き出してもらいたい という、贅沢な願いを持っている、と言えそうです。
[問8] シンプルで上品な衣装への期待が、安藤選手でなければ着こなせない個性の強いものに対し、2.5倍もの票を得ています。 これは 09/10 シーズンで後者が続いたことへの反動もあるでしょうし、たとえば直近では名古屋フェスティバルでの可憐な衣装が、安藤選手の美しさを際立たせていたこと等も影響したかもしれません。 なお、技が映えるような衣装を、という趣旨の言及が2つありました。
[問9] ここで寄せられた回答には、エキシビション用という形を借りて、競技用のプログラムへの期待が込められている場合が少なくないとも考えられます。 実際に、この設問項目で競技用に言及された方もおられます。 ファンの方々が安藤選手の多面的な個性をどうとらえているかが、音楽の形を借りて示されているとも考えられます。 (皆様からの具体例を こちら にまとめてあります。)
[問10] これは「怪我の防止」にファン全員の想いが込められている、と言えそうです。 他、体力・栄養、柔軟性、他芸術からの刺激吸収、これらに票が集まっています。
ファンとして、一番大切に想う選手が痛い思いをするのは偲び難いというのはもちろんですが、この設問への答の中には、安藤選手にとっては これからこそが、その潜在能力をフルに発揮する まさに正念場であるという感覚 そして願いを、ファンの皆が持っていることが、顕著に現れているのではないでしょうか。
◆
・・・
今回の企画、どの回答も 安藤選手への溢れるばかりの想いと優しさが込められているのを、読者の皆様も感じられることと思います。
個々の得票の分布はさておき、ぜひその点は特筆させて下さい。
一方、得票を見ますと、ファンにとっての安藤選手のスケーティングの魅力は、もちろん共通項も多くありますが、細部に関しては、やはり受け取る人それぞれの多様性があります。
しかし思えば、これほどたくさんの期待と色とりどりの夢を抱かせてくれる安藤選手は、やはり、稀有な存在と言うほか ありません。
ここに集まったファンの皆様のこうした多様で、かつ尽きせぬ願い、
どうか選手はそれを重荷とせず、振り返りたい時に 軽やかな気持ちで受け止めて頂ければ、
・・・皆様の回答の端々には、そうした心遣いさえも、はっきり うかがえるように感じます。
そうは言いつつも、アンケートの全項目の全回答にわたり、ファンの偽らざる正直で熱い願いを読み取らせて頂くとすれば、それは、安藤選手が折々に見せる眩いほどの輝きをこれからも何度も見たい、見せて欲しい、見せてくれるはずだ、そういう、おそらくは抑えきれないような真剣な想いなのではないでしょうか。
◆
皆様はどのように受け止められていますでしょう?
今回も、下のコメント欄を開けておきますので、皆様の印象・お考えを頂けると幸いです。 お待ち申し上げます。
試合用のプログラムについては質問になかったんで一言だけ。
安藤さんも織田君も、ことしのフリーは、シーズン最初がすごく良かったけど、後半印象が薄くなっていく感じがしました。安藤さんの世界選のフリーはさすがに無茶苦茶良かったですが。。。
去年の安藤さんのチェアマンズワルツみたいにシーズン後半に向かってドンドン良くなるプログラムに期待です。噛むほどに味がでるようなのがいいですねー。やっぱり東京の世界選手権で最高になるようにもっていけるように希望します。
安藤さんの演技にはきっとチェロの響きが合うように感じます。フルートとかの軽い音でなくて厚い音が合う気がします。勝手な感想ですみません。
アンケートはすごく真剣に考えました。よかったです。
そして、何と言ってもミヤケン人気! 宮本さんの人気はこのスケーティング&トランジションとも無関係ではないと思います。「音に乗る」振付けの巧みさやPG全体に流れるトランジションが魅力的な宮本さんの振付けであれば、安藤選手をさらに次のステージへ押し上げてくれるのではないか。その想像があの得票結果になったのではないかと思います。
安藤選手は競技生活の続行を明言しました。人に感動を与え、記憶に残る演技をすることはショーの中でもできることはあるでしょうが、競技の中でなければできないこともある。競技の中にまだ自分のスケートが成長する可能性がある。そこに気づいたからこそ安藤選手は競技続行を決断したのだと私は確信しています。
人に感動を与え、記憶に残る「競技の演技」とはどういうスケートか?
次の4年間(?)で、私は安藤選手がそのスケートを成就すること夢見ています。
今、新しい季節が始まる。新しい季節には新しい出会いがあり、その新しい出会いが新しい夢を叶えてくれる。
私は新たな気持ちで10-11シーズンを迎えようと思います。