2010年12月07日

6回目で実現した「初出場」 〜 8年目の再会

掲示板に来られている Go! Miki さんから、グランプリ・ファイナルに向けて寄稿いただいたので、原文に基づき ご紹介します。



今週開催される GPファイナル(12/9-12)は 美姫さんにとって通算6回目の出場となることは既報の通りだが、その6回の歴史の中でも今回の出場選手の顔ぶれは私にとっては、いや安藤美姫ファンを自負する人にとっては、ある意味とても感慨深いものではないだろうか。
ヒントは出場選手の誕生日にある。

1. 安藤美姫 1987年12月18日
2. アリッサ・シズニー 1987年6月25日
3. カロリーナ・コストナー 1987年2月8日
4. 村上佳菜子 1994年11月7日
5. 鈴木明子 1985年3月28日
6. レイチェル・フラット 1992年7月21日
(ポイントランキング順、敬称略)

そう。 上位の3名は「ハナの 87年トリオ」なのだ (勝手に命名^^;)。
日本の「学年」的に言うと、コストナーは他の二人よりも1学年上と言えなくもないが、同じ87年生れの3人はこの世界ではいわば「同期生」だ。
同年代というのは、ジュニアデビュー、シニアデビュー等々の数々のイベントを共有する。 しかもトップクラスの国際大会で度々顔を合わせてきたとなると 「喜怒哀楽を分かち合った仲間」 みたいな感覚をお互いに持っているようだ。
だから美姫さんの感情を共有したいと思う者としては、この二人には同様に仲間意識を感じずにはいられない。
コストナーが出場する試合ではコストナーを応援するし、シズニーが好調だと知るとやはり嬉しい。
この3人が同じ大会で顔を合わせれば、美姫さんに勝ってほしいのは当然として、たまたま美姫さんが不調であれば、どうせならコストナーやシズニーに勝ってほしいとさえ思ってしまう。 もともとこの二人のスケート自体も好きだということもそのシンパシーを後押しする。
なお、美姫さんがそういう仲間意識を感じている選手としては他に、太田由希奈さん(1986/11/26)と ジョアニー・ロシェット(1986/1/13)が挙げられようか。 (美姫さんの自著、由希奈さんのインタビューより)

今回のGPファイナルが感慨深いのは、この3人の同期生がシニアに上がってから GPファイナルで顔を合わせるのは 初めてだということだ。
3人のGPファイナル出場は、美姫さんこそ今回で通算6回目の出場となるが、コストナーは3回目で、シズニーは05/06シーズン以来の2回目だ。 (コストナーは過去2回いずれも台乗り)
この3人で括って見れば、美姫さんの出場6回目で実現した 「87年トリオの初出場」 なのである。



ところが、実はこの 87年トリオは 8年前、一度だけ 「ファイナル」 で顔を合わせているのだ。
それは、私たち安藤美姫ファンにとって、とてもメモリアルなイベントとなった、あの大会である。
ISU Junior Grand Prix of Figure Skating 2002/2003 Final
そう。 美姫さんが女子で世界初のクワッド(4S)を成功させた、あの2002年ジュニアGPファイナルだ。
この大会のリザルトデータを記す。

総合順位/選手名/国/総合得点 (SP、FSの成績内訳)
1位 太田由希奈 JPN 2.5 (SP3位=1.5、FS1位=1.0)
2位 カロリーナ・コストナー ITA 4.0 (SP2位=1.0、FS3位=3.0)
3位 安藤美姫 JPN 4.5 (SP5位=2.5、FS2位=2.0)

4位 ベアトリーサ・リャン USA 4.5 (SP1位=0.5、FS4位=4.0)
5位 アリッサ・シズニー USA 7.0 (SP4位=2.0、FS5位=5.0)
6位 リナ・ヨハンソン SWE 10.0 (SP8位=4.0、FS6位=6.0)
7位 シーニュ・ロンカ CAN 10.0 (SP6位=3.0、FS7位=7.0)
8位 アドリアーナ・ド・サンクティス USA 11.5 (SP7位=3.5、FS8位=8.0)
9位 ジョエル・バスティアン NED 13.5 (SP9位=4.5、FS9位=9.0)
*通常、JGPFのエントリーは8名。 バスティアンはホスト国(オランダ)のワイルドカード枠で出場。
*得点は旧採点方式。 SP+FSの合計順位点で総合順位決定 (順位点:SPは順位の0.5倍、FSは1.0倍)

この大会のハイライトは間違いなく FS。 美姫さんは FSで世界初 (ISU初公認) の 4Sを決めて歴史にその名を刻む。
3Lz+3Loの3Loで転倒したこともあって惜しくもFSは2位に甘んじたが、5位と出遅れたSPから挽回し、表彰台を見事ものにした。 (FS1位はただ一人ノーミスで滑りきった由希奈さん)
美姫さんのJGPファイナルの成績は、01/02〜03/04まで 3回連続出場ですべて台乗り。
01/02 は初出場でいきなり優勝。 この 02/03 こそ3位だったが、ジュニアシーズン最後の 03/04 では2度目の優勝。
タイトルを奪還してジュニアGPを卒業したのであった。



このメモリアルな大会が、唯一3人が顔を合わせた「ファイナル」だった。
それはまた、ジュニアシーズンという特別な季節にだけ輝いた太陽の残照に過ぎないのかと長いこと思っていた。
その太陽が2010年にまた昇る。
3人は3人ともそれぞれの道を歩み、紆余曲折を経て、ガールからレディーになった。
8年前に勢いよく、だけど昇ったばかりの脆さも孕んでいた旭日は、雨の日も風の日も昇り続け、今、赫奕たる光を放って天頂に達しようとしている。
3人の輝きは今も色褪せない。 寧ろ深みをを増している。
シズニーのスピンは未だに世界一だし、コストナーのスケーティングは今も世界最速だ。
そして、我らが安藤美姫さんのジャンプは今季再び世界一の高みに昇らんとしている。

8年前、欧州で輝き始めた3つの光は、今、再びアジアの大地で再会を果たす。

安藤美姫、カロリーナ・コストナー、アリッサ・シズニー。
「ハナの87年トリオ」の8年目の「同窓会」。
私は密やかに、本当に密やかだが、熱烈にこの3人の再会を歓迎している。

(文中、一部敬称略)

Go! Miki



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